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精神病院での看護補助

仕事

精神病院の中の様子は、皆知られていない。
普通の病院と違って、関係者、家族しか足を踏み入れない場所である。
印象だけを聞いてみたとしても、決して良い印象の場所ではない。

普通とは何か?

誰が何を持って、普通と判断するのか?

一般常識がある

  • 義務教育で習う程度の教養がある
  • 社会のルールを守ろうとする
  • 平和的な考えを持つ
  • 時間の観念を持っている
  • 逸脱行為はしない

周りの空気が読める

  • 人の気持ちを察する
  • 状況による的確な判断
  • GOとSTOPの判断が出来る
  • 自分の気持ちを隠すことが出来る

人を傷つけない

  • 暴力で人の命を脅かさない
  • 暴力で人を恐怖にさらさない
  • 言葉の暴力で人を傷つけない
  • 自分自身を傷つけてはいけない
  • 人だけではなく、生きるもの全てを傷つけてはいけない

コミュニケーションがとれる

  • 仲間と楽しい時間を楽しむことが出来る
  • 年齢の差、立場の差の判断が出来る
  • 他人と身内の違いが分かる
  • 状況による言葉を選び、で会話が出来る


このような人が、一般的に普通な人とされている。
実は何て不自由な世界なんであろう。
書いていてゾッとする反面、何と素晴らしい人間の能力を知る。
自分を押し殺して、他人に対しての思いやりという名のもとに本心とたてまえの偽りの世界である。
しかし人間は、コミュニケーションを円滑にするためにこの奇妙な世界を崩したりはしない。

確かに、精神病院の中の患者は、それが出来ずに入院生活を余儀なくされている。
一歩外に出た社会は多数決の世界である。
少数側の意見を持ったものは変人とされ、孤立してしまう。

精神遅滞統合失調症人格障害躁鬱病認知症
このように一言で病名が区切られているが、色々な症状を持っていて、皆違う個性を持っている。
又、症状が重い人、軽い人が居る中で、時間で変化を見せる者もいる。
何より、自分が精神を病んでいることを自覚はしているが、コントロールが出来ない。

症状による接し方の違い

精神遅滞の患者

低年齢で止まっている場合、社会的ルールを守れず、病棟内で問題となり、孤立してしまう場合が多いように感じる。
患者の精神年齢を知り、病棟で孤立しないように見守る。
褒めて励ましたり、話を聞いたり、叱ったりしながら寄り添っている。

統合失調症

症状が重い人から軽い人まで、症状の差があり難しい。
症状が重い患者は、基本ナースが対応しています。
症状が落ち着いているときは普通の人と変わらないように見えるが、常にどこかで危険予知を意識した対応をしている。
幻聴、幻視に左右されているため、常に精神状態を気にかけている。

人格障害

自分の意見を通そうとする為、他患者とのトラブルが絶えない。
出来るだけ会話の中に引きずり込まれないように、頃合いを見て離れる。
承認欲求が強く感じられる。
後々こう言われた、ああ言われたとのトラブルを避けるため、認められるところも断定的な返事はなるべくしないようにしている。

躁鬱病

症状が治まっている場合は何も問題がない様に見えてしまう。
普段の精神状態を把握することにより、どちらに傾いても分かるようにする。
少しの変化も見逃さないようにナースに報告し、見守っていく。

認知症

本来ならば介護施設に居るべき高齢の患者がいる。問題行動が見られて介護施設には入れない。
暴言、暴力、大声、希死念慮…
世の中の高齢化が進み、精神病院の中も、高齢の方が多くなっている。
もちろん何十年も病院で入院生活を送り、高齢になり、誰にも看取られることもなく老衰で亡くなる患者も多くいる。
歩いていた人が、認知症を発症し、寝たきりになるまではとても大変である。
精神疾患が無くても大変な事であるが、想像を絶する大変さがそこにはある。
寝たきりになっても、暴言暴力は続く場合が多く、強健な精神をもって接する。

まとめ

私は精神病院で働く看護補助者であり、介護施設で働いた経験(介護福祉士)はあるが、専門的な知識を持って書いている訳では無い。

ただ、皆様に分かって頂きたいことがあります。
精神病院の中の患者は、自分らしく生きれる場所で幸せに生活しています。

病院の中にも小さな社会があり、何でも好き勝手に出来るというわけではありません。
決められたルールを守って、小さな世界ではありますが安心して生活を送っています。
しかし、病院の外に一歩出たら、一瞬で眉をひそめる変人といて見られてしまうような人でも
自分らしく生きていけるのです。

それを見守り支える先生やスタッフは皆優しく、一人一人の人権を守ります。
社会では生きていけない患者が、毎日自分らしく生きているのです。

そんな病院の中で私は働いています。
自分の病棟の患者60%はADLでは自立しているところから、介護施設より体力的には楽です。
自分でお風呂に入り、自分で排泄が出来、自分でご飯も食べられます。
精神的に介入しなければならない患者は、ナースが担当します。
介護の仕事の様にお給料は高くはありませんが、50歳を過ぎたら細く長く働くところとしては良いと思ったりします。
同僚の先輩は皆定年の70歳まで働いています。


まだまだ未熟ではありますが、これからも患者様が毎日安心して生活が出来て少しでも“いいな”と思って頂けるように頑張って働きたいと思います。



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